Antigua Chikin もの食う人びととアンティグアのチキン
今日はスペイン語学校はお休み。
●スペイン語の復習
ということで、午前中はこれまでの復習に時間を使う。
授業で習った内容は理解しているので、あとはひたすら記憶。これまでに習った約200個の動詞とその活用形、約300個のその他の単語、そして約150個の会話例をiPadの暗記カードをペラペラめくりながら覚える。すんなりスペイン語が出てくるようにならないと、会話にもならないからだ。
もちろん、そんなすぐに頭に入るほど簡単なことではない。
オーバーヒート気味の頭を休めるために、宿にあった「もの食う人びと」という本を読んでみる。
●衝撃的な「もの食う人々」
辺見庸著の「もの食う人びと」はある種旅本といえる。
しかし、元ジャーナリストで芥川賞作家の綴る旅行記は、旅人の行動をはるかに超える旅をし、旅人の視点をはるかに超える物事の捉え方をし、そしてこれはフィクションか?と思えるほど、ストーリー性溢れる文章で読み手として大きな衝撃を受けた。
本の内容はその名の通り「もの食う人びと」をテーマに、全世界を旅しそこで感じたことなどを綴っている。
衝撃①
飽食の日本で育った者にとっては理解しがたいほど、世界には食料が足りていない。それも、ほんの一握りの貧しい民族だけという話ではないのだ。
バングラデシュでは残飯が人びとに売買されるマーケットがあり、ソマリアでは飢えてただ死を待つ枯れ枝のような体の少女がいる、ウガンダではエイズが蔓延し病気が進行しても病院はおろかろくに食べ物も買えない人々がいる。
ロシアでは兵士が餓死したり、バングラデシュでは十ヶ月の間に3千人もの子供が亡くなっている難民キャンプだってある。
ろくに食べ物を食べられない人たちがこれほどまで多くいるとは、思ってもみなかった。
衝撃②
安全な日本で暮らしているとあまりピンと来ないが、世界中で人びとが憎しみ合い、殺しあっている。
本書で特に印象的だったのが、旧ユーゴスラビア一帯とソマリア。
クロアチア人、セルビア人の民族争いでは、クロアチアの小さな村がユーゴスラビア連邦軍の攻撃で破壊され、村が全くの無人になる。建物の壁は爆撃で穴だらけ、壁も窓も弾痕だらけという村に爆撃で亡くなった夫を忘れられず今もそこに住む老婆。彼女は誰もいない、電気もない村でただ一人今も涙入りのレザンツェを作っている。
ソマリアの内戦では、難民が溢れかえる中、国連軍とアイディード派民兵が殺し合いをしている。ちなみに、ソマリア復興にかける人道援助は1年間で1億6千ドル、そしてこれに伴う国連の軍事活動には15億ドル以上かかっているそうだ。そして、そんなソマリアの国民は両軍の迫撃砲が飛び交う中、野外劇場で上映されているスクリーンの中の従性に興奮している。男たちはチャットという植物の茎を噛み、完全におかしくなっている現実で悲しみから逃れている。
当時と比べユーゴの紛争が収まったにせよ、今もなお、世界中で憎しみ合いは続いている。
衝撃③
ジャーナリストの行動力はハンパない。
迫撃砲が飛び交う地域へ「もの食う人びと」を見るために行く、3日前にセルビア軍の攻撃もあった地域へ焼き魚を食べるために行く、今もなお放射能の強く残るチェルノブイリで食べてはいけない禁断の森のきのこを食べる。
仕舞いには、事故にも事件にも巻き込まれず生きて帰ることを考えたときのことを嘆いている。
確かに、そこまでの覚悟が無ければこれだけの文章は紡ぎ出せないだろう。
と、ここには書ききれないくらい、すべてのストーリーがリアルでありつつも全くの異空間を感じさせる衝撃的な話ばかりだった。
世界を旅していると、同じように感じる部分もあり(民族間の憎しみや貧富の差など)とても興味深い内容の書籍だが、先進国で日々の暮らしと戦っている人にもお勧めの一冊です。
●グアテマラのチキンを「食う」
面白い本は時間も忘れ一気に読んでしまう。
気づいたら夕食の時間。
ということで、今日はアンティグアでも有名な「Pollo Campero」へ。
名物のクリスピーチキンを食べる。うまかった。
確かに、人類は頭ではだめでも、胃袋で連帯できるかもしれない。ものを食っている間くらいは。
かつや
関連記事:
- 031_グアテマラ(Guatemala)
- アンティグア(Antigua)
No comments yet!